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中島義道『悪について』(岩波新書、2005年)

読書履歴

 2005年4月12日に京都教育大学附属図書館で借りる。同年4月21日に読み始め、2005年4月24日に読み終える。


本文の感想

 いつもながら芝居じみたところが少なからずあるが、それでも読み物としては面白い。


本文からの抜粋と注

 第2章の「幸福の追求」から「自己犠牲的行為」(65-81頁)にかけて幸福と義務の問題が自己愛との関連で取り上げられており、その考察についても興味深い。第3章の「真実性と友の生命」(94頁から)には「嘘」論文についての記述がある。



 こうして、逆説的なことに、―まさにラスコーリニコフのように―おうおうにしてわれわれは、社会の掟に抵触するとき道徳的になるのである。その時代に社会から迫害を受けている者は、理性的でありかつ道徳的であるかぎり、自分の信念を貫くことがまわりの人々に禍を及ぼすという残酷な構造に自分が投げ込まれていることに苦悩するはずである。「いったい、どうしたらいいのだ?」と問いつづけるはずである。

 道徳的人間とは、常に善い行為をする人間のことではない。自分の信念を貫くことが他人を不幸にするという構造のただ中で、信念をたやすく捨てることもできず、とはいえ自分の信念ゆえに、他人を不幸のうちに見捨てることもできずに、迷いつづけ、揺らぎつづける者のことである。(上掲書、118-119頁)


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