プラトン『ソクラテスの弁明』

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以下、角川文庫の山本光雄訳より。

言い方の問題ではなく、言っていることが正しいかどうかが重要だという議論。

だからそのように今も諸君にこれ、、を当然なこととしてお願いするように私には思われるのである。これ、、と言うのはことばの使い方――というのはこれは、あるいは上手じょうずであるかもしれないが、あるいはまた下手であるかもしれないので――そのほうは大目に見て、私が正しいことを言っているか、いないか、ちょうどこの点をよく見、またそれに心を向けることなのである。なぜならそれが裁判官のほうの徳であり、本当のことを言うのが弁論家のほうの徳であるのだから。(50頁)


火のないところに煙は立たない論法で批判してくる人の想定。

すると、諸君のうちには、おそらく口をさしはさんで、こう言う人もあろう「だが、ソクラテス、君の仕事は何なのか。どこからこの中傷は君に対して生じてきているのか。だって君が他の人々とは何も事変わった仕事をしないのに、それでいてこれほどの評判と噂とが生じてきていることはよもやあるまい、もし多くの人々とは違ったことを何もしなかったのなら。だからそれが何であるか、われわれに言ってくれ給え、君についてわれわれが早まった判断をくださないために」と。(57-8頁)