中井大介『功利主義と経済学――シジウィックの実践哲学の射程――』晃洋書房、2009年
2009年5月25日(月)に阪大生協書籍部豊中店にて10%引きで購入。同日読み始める。
本文からの引用、コメントなど
全体を通して
引用の際に頁数がまったく示されておらず、学術書としての最低限の体裁をなしていない。
はじめに
第一に、シジウィックが倫理学・経済学・政治学を軸にした哲学体系を構築しようとしたことである。彼は『倫理学の諸方法』(1874年)において、個人は合理的に行為しようとしても、利己心と利他心の葛藤から完全には逃れられないと結論付けた。これは「実践理性の二元性」と呼ばれ、個人の倫理に関するネガティブな主張と見なされることがある。[上掲書、i頁]
第三に、シジウィックがミルを乗り越えようとしたことに注目したい。シジウィックは、ミルの倫理思想には見逃せない問題点があると考える。利己心を超克した利他的な人間性の発展によって、個人の真の幸福は実現されるという点である。そこでシジウィックは、「実践理性の二元性」を打ち出すことで、利己心と利他心の統合は不可能であると断じたのである。 [上掲書、i-ii頁]